正しい熱中症対策

運動時の熱中症対策

これから夏になり熱中症という言葉を耳にすることが多くなる季節となってきました。主に熱中症で救急搬送される人が多いのは8月、次いで7月となります。2020年の月別で見てみますと、8月が43,060件、7月が8,388件、6月が6,336件でした。この様に比較してみると、意外と6月が多いことがわかります。例えばコンビニのおでんが一番売れるのは10月だそうです。なぜなら体が寒さに慣れていないのに急に寒くなり、体をあっためたいと思うからです。それと同じようにまだ暑さに慣れていないため急に暑くなるので、湿度もある6月も熱中症にかかりやすいのです。

 しかも、この熱中症は同じ気温でも湿度が高い時に発症しやすくなるなど気象条件によって左右されるので、ここも注意が必要です。特に健康に気を使い、ウォーキングやランニングをされている方は特に注意が必要です。

 そこで、今回は主に運動時の熱中症対策について考えてみたいと思います。

 よく、熱中症対策としてこまめな水分補給が進められますが、体内における水分の働きには、主に体内で行う化学反応が水に溶けて進行する溶解作用、体内における物質の移動、細胞内外の移動をつかさどり老廃物の排泄や栄養物質の運搬を行う運搬作用、また体温が高くなると皮膚より汗として水分を出し、その気化熱により体温を奪わせ、効率的に体温を下げる作用の体温維持があります。ですから、水分が失われるとこれらの作用ができなくなるために様々な障害が現れます。

 では、水分がなくなるとどんな症状が現れてくるのでしょうか?(表1)特に2%かめまいや吐き気等熱中症の症状が現れてきます。そのため、スポーツを行う際には、こまめな水分補給を行うことは最優先事項ですが、そのほかに運動前後に体重を計ることによって失われた水分量を測定し、自分の適度な摂取量を確認することができます。例えば体重80kgの方であれば、帰ってきたときに体重78,4kg以内に収まるように水分補給をすることが大切です。

(計算式:体重80kg×0.02=水分損失量1.6kg)

このように、運動前と運動後に体重を計ることによって自分の体調を管理し、熱中症にならないように子供からご家族までの健康を管理することができます。

 摂取する水としては、体内への吸収を早めるために5〜15℃に冷した水を用いることや、飲みやすい組成にしたり、胃にたまりにくい組成および量にする事が一般的で、その補給する飲料の中身は汗で失われた塩分補給のために0.1%〜0.2%の食塩(ナトリウム40~80ml/100ml)と糖質を含んだ内容が効果的で、主に一般のスポーツドリンクが利用できますが、糖質濃度が高くなると胃にたまりやすくなり好ましくありません。特に1時間以上の運動をする場合には、エネルギーの補給も考慮するので、4〜8%程度の糖質濃度が良いとされています。このことから熱中症対策としては経口補水液が好ましいといえます。

 また、気温に関しては熱中症予防運動指針というものがありその中でもWBGT(暑さ指数)を用いるのが望ましいとされています。初めてこの言葉を聞いた方は多いと思いますが、これは、気温(乾球温度)、湿度(湿球温度)、輻射熱(黒球温度)、気流の4つの要素を取り入れて計算された指数の事で、環境省熱中症予防サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/)から該当地域が現在どのような状況かを調べることができます。

 その指数には5段階(表2)あり、31を超えると運動は原則中止となり、特別な場合以外は運動を中止することができます。ですから、特に7月と8月はとても暑いため、昼間に運動するのではなく、涼しくなる夕方や朝に運動することができますし、この指数を見て、水分の量を調節しながら熱中症にお気をつけて生活してください。

 さらに経口補水液を6月から常備しておくことをお勧め致します。

 また水溶性ケイ素Mineral.kは吸収性に優れていますので、ぜひ水や経口補水液等に入れてお飲みください。

 

水分損失率と現れる脱水症状の関係

水分損失率諸症状
1%大量の汗、喉の渇き
2~3%強い渇き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退
血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇、汗が出なくなる(3%)
4%全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、イライラ
疲労および嗜眠、感情鈍麻、吐き気、精神不安定
6%手足の震え、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、熱精こんぱい
体温上昇、脈拍・呼吸の上昇
8%幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱
10~12%筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)失神、舌の膨張
興奮状態、不眠、循環不全、血液減少、腎機能不全
15~17%皮膚がしなびる、嚥下不能、目の前が暗くなる、目がくぼむ
排尿痛、聴力損失、皮膚感覚鈍化、舌が痺れる、目瞼硬直
18%皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20%生命の危機、死亡

熱中症予防運動指針

気温(℃)WBGT(℃)熱中症予防運動指針
35以上31以上運動は原則中止特別の場合以外は運動を中止する。特に子供の場合は注意
31〜3528〜31厳重警戒
(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いため、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10〜20分おきに休憩をとり、水分・塩分を補給する。
28〜3125〜28警戒
(積極的に休憩)
熱中症の危険が増すので積極的に休憩をとり適宜水分・塩分を補給する。激しい運動の場合は30分おきくらいに休憩をする
24〜2821〜25注意
(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
24未満21未満ほぼ安全
(適宜水分補給)
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給を行う。