コロナ患者90%に起こること

コロナ患者90%に血栓をつくる血小板の塊が過剰に存在

新型コロナウイルス感染者の約90%に、血栓をつくる働きがある血小板の塊が血液中に過剰に存在し、特に重症者ではその傾向が顕著だとの研究成果を、東京大学などの研究チームが2021年12月に発表しました。

新型コロナの患者は、感染によって血管内部が傷つけられることで血栓ができやすくなり、血栓症、肺や脳、心臓などの血管が詰まって重症化につながることが知られています。また、重症化リスク因子である高齢、基礎疾患、(糖尿病、高血圧、悪性腫瘍、脳心血管疾患、肥満など)、喫煙は血栓症のリスク因子と合致しています。

研究チームは、東大病院に入院した感染者110人について、血栓ができる際に見られる、ごく小さな血小板の塊の出現頻度を調べました。その結果、全体の87%に過剰な数の塊が存在。軽症(23人)、中等症(68人)、重症(19人)の各患者で症状が重くなるほど、血小板の塊が現れる頻度が上がりました。

血小板の塊の数は、患者の症状に関わらず、発症から3~4日ほどは同じ程度でしたが、重症患者では5日目以降、急に増え、発症から1週間で」健康な人の10倍となり、その後、3週間にわたって多い状態が続きました。中等症の患者では数が徐々に増え、発症からおよそ2週間後に健康な人の5倍ほどに達し、その後減った一方、軽症患者では増加の幅は小さくとどまっていました。研究チームは「塊がどの程度増えると重症化リスクが何倍になるかは不明だが、さらにデータを集めればより的確な血栓症治療の選択につながる可能性もある」としています。

(薬屋だよりより抜粋)